テディ・ベア
明け方、オイのケージのドアが開くキーという音で目が覚めた。
『ダ・ダンナめ〜』
時差ぼけのダンナだ。
今回は紛争やらクーデター、テロで大騒ぎの国への出張でなかったから、
気が楽だった。
しかしヨーロッパへの出張は、その後が大変。
時差ぼけに長い間、付きまとわれる。
夕食を済ませると突然眠気に襲われ、バッタン・キュー。
そして真夜中の3時頃に目を覚まして、騒ぎ出す。
うるさいったらない。
『どんなに退屈しても、そこでジッとしておれ。動くな!』
と言っているのに、ガヤガヤ・バタバタ。
やがて1人、孤独に耐え切れず階下に降りて行く。
しばらくして冷蔵庫や戸棚を開ける音が響く。
それでも更に時間を持て余す。
挙句、『オレはオイの顔を見ただけじゃないか!』
とやっと起きてきたボサボサ頭の妻に、責められる事にもなる。
本当に迷惑。
迷惑と言えば、また冷蔵庫の中がチーズの山で溢れている。
生のホワイト・アスパラも大きなパッケージで3つ。
誰も食べないドライ・フィグもまた買ってきたのね。
ドイツから『お土産は何がいい?』と訊かれたので、
『目に入るものは何でも。私が喜びそうなモノを手当たり次第!』
と言った。
電話の向こうで口ごもって、困っていたので
『白熊クヌートのヌイグルミがいいわ!』
と思いついて助け舟を出した。
白熊クヌートとは、我ながらミーハーだなぁと思う。
(幸いと言っていいのか)ダンナにはそれが通じなかったようで、
別の国の白いテディ・ベアが2つ、私への土産になった。
これが、滅茶苦茶・・・可愛い。
フワフワでつぶらな黒い瞳がたまらない〜
一体、どうしちゃったんだ? 私!
ファースト・ベアとタグにあったので、
そうだ、もうすぐこの世にやってくる
イノシシ・ベイビーに贈ろう!と思いついたのだけれど、
あまりの愛らしさに、つい叔母は手放すのが惜しくなる。
しかし、やっぱりこんな私では気色悪いにも程がある。
やっぱりこの世で一番ふさわしい赤ちゃんに贈ろう。
幸せになっておくれ。
クマちゃん達も。
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