腹が減っていたで、片付けないでね
土曜日、英会話教室のレッスンがお休みで、個別カウンセリングというものがあった。
日頃、教室内で何か不満や質問がないかと質問が始まり
『英語を学習するモチベーションは充分か?』と訊かれる。
『人生のモチベーションすらないのに、英語のことなんか構っていられる場合じゃないのよ』
青い目の若造、答えに窮し、
『スピリチュアルな話はわからないが・・・』
『この本を読んでごらん』とメモにタイトルを書いて渡してくれた。
私とこの若造とは、理解し合えない関係だけれど、私は何となく好き。
その夜。
テレビに釘付けだったダンナが、チャンネルをまわした途端、ジュラシック・パークのエンディングの音楽が流れ出した。
つまらない夜だった。
ダンナとオイとある山に行く予定だったのに、この天候では無理。
どうやら明日もつまらない日になってしまう。
堪らなくなった。
ちょうど肩に羽織っていたバスタオルを、バサバサと翼にして、ダンナの前に立ち塞がった。
ウォォォ〜、ジュラシック・パークの音楽を背に、プテラノドンの雄たけびをあげる。
ダンナの良いところは、こんな時でも、決して呆れたり怯えたりしないところだ。
だんだん、こちらも冷静になってきて、虚しさが募ってくるが、
『そこで止めるな!その調子だ!』
ダンナの喝采が飛ぶので止めるに止められず。
躁鬱かしら?
日曜日の朝、グズついた空模様を見ていたら、とても憂鬱になってきた。
フトンの中にまた潜り込んだ。
嫌な感情が沸々湧いてきて、深い淀みに沈み込んで行きそうな感じがしたが、
『もう少し、ちゃんと心の中を観察してみるか』
私は真面目だ。真面目な私である。
しかし途中から眠ってしまい、目が覚めたら自分が何を見つめていたか、肝心な事は何も覚えていない。
何となく、しっかりと自分の気持ちが文字にまでなっていたような気がするのに、惜しいことをした。
スーパー・ツルヤは日曜日に買い物をすると、スクラッチ・カードをくれる。
ハズレでも5枚貯まると500円の商品券をくれるので、こんな時でも日曜日、ツルヤの買い物は外せずに出かけた。
その途中、ファミリー・レストランで食事をたらふく取った。
突然、自分の機嫌が良くなってきたのを感じた。
『腹、減ってたんだな』
ダンナが言った。
『旅行にどこか、行きたいなぁ〜』と言った。
ヨーロッパはどうだ?とダンナが答えた。
どうせ、オイを置いてどこへも行けやしないと高を括っているのね。
いや、オイは置いて、私は自分の行きたい場所に行きたいのだ。
今なら行けるのだ〜。
その夜。
何だか、犬の吠え声があちらこちらから聞えて、騒がしい夜だった。
ウチのオイは吠えない。良いコである。
そのまま眠りに落ちそうと思ったら、
『ウォン!』
カッカッと咳き込んで、吐きそうな気配があったので、眠い目を擦りあげ、しばし夜のひとときをオイに付き合うことになった。
『私のこと、ちゃんと見ててね』
オイに引き止められたような気がしたのは、私の思い過ごし?
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