2005 10月13日 オイの手紙
そしてガチャっと音がしてケージが開いた。
『オイ、頑張ろうね!』と言って母さんはリードを付けた。勢い良く飛び出した。
大雨はそのとき丁度止んでいて、母さんはカッパを脱いで、なんと半袖姿!
落ち着くために、また静かな場所に行こうと言った。お陰で母さん、チームのセサミの走りが見れなかったんだ。セサミは何かすごい事をやってのけたらしいよ。みんなで大騒ぎして笑っていたもん。
でも、もうその時は吠える犬や興奮している犬達が、オイは怖くて仕方無かったの。
なのに母さんは、逃げ出したくなるような、もっと酷い場所にオイを連れて来た。
小さな頃、オイを吠え立てたあのラブラドールという大きな犬達。ルパンはラブじゃないんだよ。
ルパンはルパンで、特別なの。
雨でぬかるんだ地面の上で、飛び掛って来そうなコもいたわ。父さんに怒鳴られているコも。
誰彼構わず叫んでいるコも。
怖くてオイも負けずに吠えてみた。母さんが何か言ってたけど、何も聞こえなくって、頭もだんだんボーっとしてきた。もう母さんの存在すらない。ここで自分を守れるのは自分だけ。
ほら、そこのあんたっ!これ以上私に近づくんじゃないわよ!
ところが目の前のゲートが開いて、大きな声で、『次は○○県の△△オイチームです』と呼ばれた。
わけもわからずゲートの中へ走ったけど、相変らず沢山の人と犬がオイを見ていて、ソワソワ止まらない。
母さんは何とかしようとしてたんだと思う。
でもどうしようもなかった。
何とかオイが座って、母さんと目が合った時、母さんは2つめのハードルまでゆっくり歩いて行った。そして大きな声で、『よしっ!来い!』って手を振って叫んだ。
最初のハードルは跳んだけど、2本目は外した。母さんは『あれれ』って感じで笑った。一緒にやり直した。それからトンネルに入らず、ネットの外に向かって走った。
父さん、しっかくってなあに?オイはそのしっかく、だったらしいよ。母さんは怒らなかったし、笑っていたから、それって良いことなの?オイはえらかったってこと?
きっとそうだよね、だから母さん、レースの後でまたごはんくれたたんだね!
いつもは朝ごはんは一回なのに。良かった!
オイは何か失敗したのかな〜って気がしてたんだ。
だからって平気なオイだけど。気にならないオイだけど。
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